本県の水産業は,国際的200カイリ体制の定着による漁場の制約をはじめ,漁業用燃油価格の高 |
水準での推移など生産コストの増大による収益性の低下,水産物需要の低迷及び労働力の高齢化 |
等きわめて厳しい情勢にある。 |
一方,本県周辺海域は,全国有数の長い海岸線と広大な漁場に恵まれるとともに,気象海況等漁 |
業の発展に有利な特性を有しているので,これらの優位性を最大限に活用し,生産性の高い水産 |
業を目指した振興策を積極的に推進する必要がある。 |
このため,漁場環境を有効に活用した資源管理型漁業,即ち,つくり育てる漁業に取り組み,漁 |
業経営の安定向上を積極的に推進していかねばならない。 |
本県では,過去,鹿児島湾における100万尾マダイ放流事業や,不知火海,志布志湾におけるク |
ルマエビ放流,外海域における栽培漁業のモデル地区づくりのための豊かな海づくり事業等に取 |
り組んできたところであるが,このたび,県,沿海市町村及び漁業団体等が協調し,本県におけ |
る栽培漁業を推進する組織をつくり,漁業者自身による漁場の維持管理と種苗の生産,放流とい |
う「つくり育てる漁業」の一層の発展を目指し,本県における栽培漁業の積極的な推進を図り, |
沿岸漁業の振興発展を期するため,財団法人鹿児島県栽培漁業協会を設立し,本県漁業の発展と |
漁業者の生活安定に寄与しようとするものである。 |